オンド・マルトノ


 1928年(昭和3年)にフランスで発明された電波楽器。音楽家であり、電気技師でもあったモリス・マルトノ(1898−1980)によって発明される。電気を使った楽器としては、世界で最も古いもののひとつにあげられている。
 本体には鍵盤があり、その手前には一本の弦が横に張られている。弦には指輪がついているので、その指輪を動かすことによって音程を変化させ、滑らかなポルタメントやビブラートを生み出す。鍵盤は両端を紐で吊られ浮遊しているので、指先でビブラートをつけながら演奏することが可能である。左側引き出し内にトゥッシュと呼ばれる装置があり、音量や音価を変化させる。その総合的な演奏法は弦楽器に通じるところがあり、様々に変化する微妙な音楽ニュアンスの表現を可能としている。本体の他には三種類のディフューザー(スピーカー)がある。バネや弦、銅鑼などの振動力を用いて独特の残響を作り出す。
 演奏者それぞれが独自の音楽表現を生み出すことのできる洗練された楽器として、今日までにフランスをはじめとする多くの作曲家達に取り上げられてきた。メシアン、ジョリヴェ、ミヨー、オネゲルといった作曲家達をはじめ、20世紀の音楽史上重要な作品がこの楽器と共に数多く生まれている。もちろんクラシック音楽だけでなく映画やCM、シャンソン、お芝居など様々な場面でオンド・マルトノの音は耳にすることができる。


〈名前の由来〉
オンド(Ondes) : フランス語で「電波」を意味する。
マルトノ(Martenot) : 発明者、モリス・マルトノの苗字。




本体 (Corps)

     


この本体内では2つの周波数の差をよみとり音程や音量を定めている(ヘテロダイン方式)。
ここから高周波の電気振動が発せられて各ディフューザーを震わし、それらの共鳴音で独自の音世界が作り出される。
右手は鍵盤とその手前にある指輪付きの弦を操作し音程をとる。
指輪を弦に沿って横にスライドさせることにより、滑らかなポルタメントやビブラートを生み出すことができる。
鍵盤は内部で両端が紐で吊られ浮遊しているので、指先でビブラートをつけながら演奏することが可能である。
左手は引き出し内にあるトゥッシュと呼ばれる特殊な装置を操り音量、音価を変化させる。



プリンシパル (Principal)




上下に1つずつのディフューザー(スピーカー)が入っている。
共にこの楽器の核となる音色を出す。
下方部はレゾナンス(残響)用で、内部にはいくつかのバネが張られている。




パルム (Palme)




シュロの葉を型どったディフューザー(スピーカー)。
表と裏にそれぞれ12本、12平均率に調弦された弦が張ってある。
これらの弦を本体からの電気振動で震わせ、その美しいボディでも共鳴させることによって柔らかな残響を生み出す。



メタリック (Metallique)

      


前面に銅鑼が吊るされたディフューザー(スピーカー)。
本体からの電気振動で銅鑼を震わせ金属的な残響を生み出す。
吊るされた銅鑼の産地、種類によって響きは大きく異なる。


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